王家衛、不満をあらわに

東方電影は先だって、映画《葉問》を《一代宗師 葉問》と改名。王家衛(ウォン・カーワイ)が撮影する同じ題材の映画《一代宗師》とそっくりのタイトルだ。澤東電影はこの記者会見は卑劣だと非難、張同祖(ジョー・チャン)は映画界の悲哀だと嘆いた。


王家衛は02年、澤東電影は葉問の物語を題材に《一代宗師》を撮影すると宣言した。昨年黄百鳴(レイモンド・ウォン)も同じ主題の映画《葉問》の撮影を決めた。主役には甄子丹(ドニー・イェン)、監督に葉偉信(ウィルソン・イップ)、映画は今年撮影開始される。一昨日この映画は上海でプロモーションをし、タイトルは《一代宗師 葉問》と変わっていた。さらに甄子丹は10年前、王家衛と劉鎮偉(ジェフ・ラウ)は葉問役を甄子丹にオファーし、前金を貰ったと話した。


この件に関して王家衛は昨日、海外から応え「甄子丹はとても優れたアクション俳優だ。しかし梁朝偉トニー・レオン)とくらべ、演技ではその差は大きい。これは誰の眼にも明らかだ。僕は葉問役を彼にオファーしたことはない。それは相応しいと思っていないからだ。前金を払ったというのはさらに不可思議だ」と話し、これまで一度も2作品の競作に対して怒ることはなかったが、宣伝に利用されたくないと、今回最初で最後の回答をした。


本来2社の競作は、各自がそれぞれに撮影すれば何事もない。一昨日になり東方電影はタイトルの一部を変更して《一代宗師 葉問》としために騒動になっている。澤東の梁小姐によれば、「本来良い意味での競争ならそれは良い事件だ。しかし他人の映画のタイトルまで使ってしまうのは卑劣な行為というほかはない。葉偉信はとても優秀な監督だと信じている。このよう策を労するとは思えない。また映画会社の黄百鳴社長は映画界の先輩で映画協会の会員、このような事態を容認するとは香港映画界にとって誠に残念な事だ」と話した。


また《一代宗師》の總監督である張同祖は、「王家衛はこの脚本の為に10数年資料集めをして来た。これまでずっと放棄はしていない。僕と葉準さんもまた、2社がどういうものを撮影するのかについて共通の認識を持っている。もしタイトルにさえオリジナリティがないのなら、それはまことに悲しむべきことだ」と語った。


黄百鳴は今はこの件に関して回答はしないようだ。甄子丹もまた入校前までには回答がなかった。王家衛は甄子丹に葉問をオファーしたことがないという件について、夫人の汪詩詩が甄子丹に代わり答え、「甄子丹が私に語ったところによると、みなが間違っている。10年前劉鎮偉が彼にオファーしたとは言ったが、王家衛が彼にオファーをしたとは話してない。演技については、梁朝偉が多くの賞を貰っているのは知っている。しかしある映画が最優秀映画賞を取ったなら、他のすべての映画の出来が悪いということにはならない。《マトリックス》のように最初、キアヌ・リーヴスの役にはウイル・スミスを考えていた。それは彼の演技が素晴らしいからだ。しかし出来上がったものは悪くなかった」と話した。一昨日、映画会社が出したプレスリリースには確かに甄子丹は10年前に王家衛と劉鎮偉が彼に葉問をオファーしたと書かれていた。


甄子丹以外、昨日は熊黛林と林家棟(ラム・ガートン)が上海で撮影をした。初めて映画を撮影する熊黛林は朝5時には起きて準備をし、30年代風のクラシックなチャイナドレスを着た。しかし雨が止まず俳優たちは午前中は”待ち”になってしまった。by 2008.5.10「東方日報」

むかし、キャセイとショウブラの間で同じタイトルの作品を撮るという事態が起きたことがあった。その時からタイトルは登録制になっていて、先に香港電影工作者總會(だったか?)に登録したものがそのタイトルの権利を持つことなっている(と記憶している)。この場合、全く同じではないので、その制約は受けないのだろうが、後から企画を立ち上げ、途中でタイトルを変更した東方電影が分が悪いように思う。
観客としては卑劣かどうかより、作品がいいか悪いかだけが重要だ。王家衛にも是非《葉問》を実現させてもらい、出来上がった作品で対決してもらいたいものだ(まったく方向の違う作品になるだろから比べることもないのだが、つまりは両方見たいだけだが)。