機動部隊・人性

《機動部隊・人性》任達華(サイモン・ヤム)、邵美琪(マギー・シュウ)、林雪(ラム・シュ)、林家棟(ラム・ガートン) 
呉耀権:監督 DVD


大陸からやってきた犯罪団が、ひと仕事を終わったところに偶然、森(任達華)らが乗った警察のヴァンが立ち往生する。警察無線を傍受していた犯罪団はヴァンに銃を浴びせ逃走した。この様子がなんと録画されネットにアップされるという不祥事に。CIDの肥棠(林雪)は競馬好きで借金が膨らんで、高利貸しの雄(林家棟)からしつこく返済を迫られていた。自宅から九龍城の安宿に身をかくした肥棠は、隣室の男たちが犯罪団とは知らず顔なじみになる。ある時、彼らを乗せ車が向かった先で銃撃に遭遇し、ついに彼らの正体を知るが、犯罪団は借金だらけの肥棠に仕事をもちかけるのだった。


物語りの主役は林雪。警官なのに犯罪現場に落ちていた札に目がくらんだり、競馬で借金だらけになり妻に逃げられたり、高利貸しからもバカにされていたり、犯罪集団の片棒を担いでしまったりするのだが、最後には森たちの信頼を裏切らず、大逆転な展開にもっていく。元レーサーでマカオグランプリで5位になったことがあるという、林雪の現在の体型からは想像もつかないかっこいい過去も作ってもらっている。さらに劇中、窓から窓を伝わって隣の部屋に忍び込むという、これまた林雪の体型からは想像できないようなアクションシーンも用意されていた。林雪の魅力全開!な映画だった。そして物語りのキーは關二哥。


物語りの最初、警察署で關二哥(関羽の像)を集め捨てようとする場面があり、ビルの裏に捨てられた關二哥を林雪が拾い上げるシーンもある。香港映画を見ているとよく警察にこの関羽の像が飾ってあり、出かけるときには必ず線香を上げる様子が描かれている。これを迷信だと言って中止するという上司の話も出て来ることがある。そして実はヤクザの方もこの關二哥を拝んでおり、仕事の前には線香を上げている様子が描かれている。
wikiによると、「香港の三合會(ヤクザ)は元々は道教を信仰する反清の幇會から始まっているため、道教の神の中で最も位の高い関羽を祭ることになった。警察が関羽を祭ることになったのは、1930年代の油麻地警察のある署長がはじまりで、その後、消防や海關(イミグレ)などその他の部署に広がっていった」とある。
物語りの初めに捨てられそうになった關二哥は物語りの終わりには戻ってきて、警察官たちは歓んで大切に關二哥をかかえていく姿が映し出される。つまり一度は失われた「關二哥」(それが象徴する「忠誠と武勇」)は、再び警察官たちの元に戻っていったというわけだ。


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