分手説愛你

《分手説愛你》薛凱琪(フィオナ・シッ)、房祖名(ジェイシー・チェン)、鄧健泓(パトリック・タン)、冼色麗(ボニー・シン)、葉山豪 
黄真真(バーバラ・ウォン):監督


監督の黄真真(本人)はある企劃を思いつく。本当の恋愛はしたことがなくても、振ったり振られたりの経験のある人は多いはず。そんな若者たちの経験をあつめ、面白い話を聞き出し映画にしようと考える。若者からまず話しを聞き、審査を通過した子にビデオカメラを渡して彼氏や彼女を撮ってくるように言い渡す。Joe(房祖名)は一度は振られたFlora(薛凱琪)と再びつきあうことになった。それは「Break Up Club」というサイトでFloraと彼氏を別れさせたからだ。Joeはこの話を黄真真に話し、ビデオカメラを受け取った。
Joeはこの事を内緒にしてFloraとの恋愛をビデオに収めていくのだが・・・・。


ビデオで隠し撮り的な映像がスピード感いっぱいにスクリーンに映し出される。同じ黄真真の《六樓后座》を初めて見た時の感覚に近く、《六樓后座》より緻密で隙がない。かなりいい。コメディチックなところも多いがその中にふと真実が見え隠れする。始まりの部分、粗く早いカメラの動きもあり、一見何が始まったのかつぶさには理解できないことと、めまぐるしさに戸惑うのだが、だんだんと目が慣れてくるのと、すこしずつ物語が形成されていくようになると、否応なく物語に引き込まれていく。
子供っぽい彼氏と現実的な彼女。目標を持った男がかっこよく見えてしまう彼女。やけになり彼女の後をつけるストーカーチックな男。そんな2人を、つきあっていると噂されていた(今は分かれたらしいが)薛凱琪と房祖名が演じると妙にリアルで、見ている方がドキドキしてしまうのも隠し撮りという題材にふさわしく、得した作品になっているのかもしれない。薛凱琪はこの映画祭で2本上映されている。彼女の演技はかなりおげさで、わざとらしく上手くはないのだが、この映画では房祖名とのパートで比較的自然に見える点でも、2人の関係を怪しんでみたり(笑)。
房祖名もあいかわらずイメージどおりふにゃふにゃとした感じで、定職につかないアルバイトで食いつなぐ男がぴったりの人選。今回は、かつらに帽子、めがねをかけてまったく違うイメージで登場する鄧健泓が、もっとも意外性があって面白い。
実はあまり期待していなかったっだけにかなり高得点。
2010.4.3@香港國際電影節(香港文化中心)


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