桃花泣血記

《桃花泣血記》阮玲玉、金燄、韓蘭根、劉繼群、黄筠貞 
卜萬蒼:監督 1931年 モノクロ 
無声 中・英文挿入字幕 聯華


田舎の牧場に雇われている男に娘が生まれる。娘・琳は桃の花を見ると泣き止むので、家の庭に桃を植えてやった。牧場の持ち主には同じ年頃の息子・徳恩がおり、小さい時から、母につれられ牧場にやってきていた。桃の木が大きくなり美しい花を咲かす頃、琳(阮玲玉)も美しく育ち、牧場主の息子・徳恩(金燄)と互いに好意をよせるようになっていった。
ある時、母とともに牧場を訪れた徳恩は、琳と離れがたく、母に琳を街へ連れて行って、数日遊ばせたいと願い出る。母は承諾して、琳を連れて街の屋敷に帰った。庭で仲むつましい2人を見た徳恩に気のある娘が徳恩の母に告げ口をしたため、怒った母は琳を牧場へ返すように言い渡す。ところが徳恩は密かに小さな屋敷を借りて琳をそこへ隠し、2人は密会していた。
ほどなくして田舎の母が病気になったため、父は遊びに行って帰ってこない琳を屋敷に訪ねていったため、徳恩が琳を密かに隠していたのが母にばれてしまう。母は身分の違う2人を一緒にする気はまったくなく、金で解決しようとする。娘を弄ばれた父は怒り、金をはねつけたため、牧場を追われることになる。田舎へ帰るとすぐに母は亡くなり、牧場を出て行かなければならなくなった。そんな時、牧場に牛泥棒がやってくる。見捨てておけぬと父は牧場へ向かうが、牛泥棒に目をつかれて、目が見えなくなってしまう。琳は赤子を出産、目の見えない父は働き口もない。徳恩は部屋に軟禁状態で屋敷を抜け出せないのだった・・・・。


封建的階級社会に翻弄される恋人たちを描く。何もしらない純粋な子供の頃は幸せだったが、愛のため社会に反発すると途端に、おきまりのように坂道を転がるように不幸がどんどん押し寄せてくる。貧しい者のところにはもちろんセットで病魔もやってくる。「泣血記」というタイトルからして結末が見えている。
阮玲玉は一種の憑依女優だった。これは私がかってにそう呼んでいるのだが、何かにとりつかれるようにのめり込み、精神が崩壊する役が上手い役者であった。
2010.6.5@香港電影資料館(神女生涯原是夢 ・ 阮玲玉電影展)


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