陸零柒、生炒糯米飯、赤地、黄色拖鞋、偏偏》

短編5本。後ろの4本は「香港四重奏」として今年春の香港國際電影節で上映。

《陸零柒》

劉伽茵:監督 中国
スクリーンにテーブルか床かと思う木目の板が現れる。じっと見て居ると何かが反射して映るので木目の上にガラスでも置かれているのかと思うと、突然画面が波立ち、水があることが分かる。するとそこに、リアルな魚の形をした物体を持った「手」が現れる。「手」は魚をまるで泳いでいるかのように動かし、水の中を魚は泳ぐ。ときどき、ぼこぼこと空気が魚からもれる音を発しながら魚は泳ぐ。そのうち別の「手」が壁に「椎茸」を貼り付けたり。白いマッシュルーム(の様な物体)を投げ入れたり、別の「手」が魚を捕まえようとしたり・・・。台詞は一切なく、カメラは固定されている。
魚を動かす「手」は黒子のようなもので、アニメやもしくは実際の魚が泳ぐ様子を陶器の「魚」と人間の「手」を使ってやってみたというところ。魚の動きをさぞ研究したのだろう。画面へ何かが入ってきて、出て行くという動線もよく考えてあると思う。手を見せないように齣撮りする方法もあるだろうが、あえて「手」も見せてしまうという発想が面白かった。なお、魚を動かしたり、しいたけをくっつけたりしていたのは、監督と監督の父母。そういうところも面白い。

《生炒糯米飯》

《生炒糯米飯》杜宇航(トー・ユーハン/デニス・トー)、侯煥玲 邱禮濤(ハーマン・ヤウ):監督
子供は「生炒糯米飯」が大好き。おばあちゃん(侯煥玲)がやっている屋台の1つ5セントの「生炒糯米飯」が買いたいがなかなかお金が貯まらない。ようやく5セントを持っていさんで買いにいった。そこへ警察がやってきて、おばあちゃんの屋台は取り上げられてしまう。しばらくするとおばあちゃんは自分でこつこつをとまた屋台を作りはじめていた・・・。大人になった男の子は、レストランで「生炒糯米飯」を見つけてオーダーする。食べ終えると今度は10皿分をオーダーして。。
ノスタルジーの中に香港の歴史(おおげさに言えば)を盛り込んでいる。屋台の食べ物はいろいろあるが「生炒糯米飯」を選んだというのは監督が好きなのだろうか? 撮影は永利街と蓮香居。
今回の「香港四重奏」はみなデジタル撮りだが、 この作品の画質が一番悪かったのが残念だ。

《赤地》

呉彦祖ダニエル・ウー) 羅卓瑤(クララ・ロー):監督
香港のホテル。男がある女性を部屋でひたすら待っている間の妄想。香港の町が刻々と姿を変えて男の前に立ち現れていくさまを制止画の積み重ねて見せる。

《偏偏》

徐天佑(チョイ・ティンヤウ)、楊淇(ケイト・ヨン) 麥曦茵(ヘイワード・マック):監督
この作品だけ國際電影節で鑑賞ずみ。詳細は(id:hkcl:20100328)。
以前より色が綺麗に見えたのはスクリーンのせいか? 

《黄色拖鞋》

陳果(フルーツ・チャン):監督
映画の記憶満ちた香港。実写を劇画風に仕上げている。


2010.8.27@夏日國際電影節(香港藝術中心)


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