受薪姑爺

《受薪姑爺》
張英才、南紅、麥基、李香琴 
盧雨岐:監督 1965年 
モノクロ 粤語 無字幕 信誼


売れない作家・許君傑(張英才)は、部屋代が払えなくなっているのだが、隣室の心根の優しい丁家珠(南紅)が彼の代わりに家賃を払ってやっていた。ある日、丁家珠の元に私立探偵が尋ねてきて、あるお金持ちが自分の娘を捜しているといい、彼女の身の上をいろいろ聞き、父親に会って欲しいと頼むのだが、父のことを好く思っていない家珠は断ってしまう。しかし丁家の執事・福伯(俞明)が家珠を尋ねてきて丁の今までの人生を話して聞かせ、家珠は父親への誤解を解き、会いに行くことにした。しかし執事は、丁はいま自分の商売を甥(家珠の従兄)に手伝わせているが、この甥が信用ならず、娘が見つかれば娘とその夫に商売を譲りたいと考えていると話す。家珠が独身だと知り、福伯は誰か適当な人物を夫にしたてるように言う。こまった家珠は、隣室の売れない作家・許君傑を月500元で雇い、偽の夫に仕立てて父に会いにいった。
娘の出現にこころ穏やかでない従兄(麥基)は、お手伝いの阿彩(李香琴)からねのりはほり家珠夫婦のことを聞き出していた。家珠と君傑の関係を訝しく思う従兄はある日、君傑を酔わせ秘密を聞き出して録音して丁に聞かせる。偽がばれた君傑は偽の妻をおいて丁家を後にしたのだが・・・。


嘘から誠が出てくるという話しで、最後はめでたしめでたしなコメディ映画。元はラジオドラマということで、台詞で笑わせる部分が多い。南紅は裕福ではないが金銭的にも精神的にも自立した女性で、だめんずな張英才を叱咤しながら物語は進んでいく。張英才は売れないくせに少々頑固な男を生き生きと演じている。李香琴は麥基にいいように使われそうなところを最後にはしっかり自己主張してしまう。男2人はだめんずで、女性がしっかりしているという物語でもある。物語は始まったところから結末が分かっているようなものだが、偽の夫婦が、父やお手伝いの目をごまかすために右往左往する場面には多いに笑う。
なおタイトルの《受薪姑爺》は「給料を貰った娘婿」というような意味。
2012.1.28@香港電影資料館(映畫戲迎春 賀歳片精選)


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