在浮城的角落唱首歌

監督の麥海珊。
ドキュメンタリー My Little Airportの阿P、The PancakesのDejay、迷你噪音のBilly:出演 
麥海珊(アンソン・マック):監督


3人のミュージシャンへのインタビューを通して、ある土地への思いを語り1曲歌ってもらう。
My Little Airportの阿Pは牛頭角と観塘。彼は牛頭角の工業ビルの部屋をバンド房(バンド練習部屋)にしており、そこに住んでしまっている。牛頭角から観塘にかけての古い工業ビルは、もともと工場が入っていたが、工場はどんどん大陸へ移り空きができて、そこをミュージシャンたちが借りるようになっていって、一帯には多くのミュージシャンのバンド房があるという。固まっているのはいいことで、ここなら音楽関係のことは何でもそろうという。工場は夜には人気がなくて怖いこともあるが、食事も安いし便利だと話す。しかし近年、古くなった工業ビルはビルごと売られて、しまいには立て替えになるケースもあり安いバンド房の確保も大変らしい。そして、このパートではもっぱらこのこの地区のバンド房の家賃の移り変わりが数字で示されていく。
The PancakesのDejayは、子供の頃に住んでいた石蔭邨を尋ね子供の頃の記憶をたぐり寄せていく。石蔭邨は立て替えられており、周辺の風景も変わってしまい、尋ねていくDejayはその変化に戸惑いながらもかつての住まいの記憶を語っていく。ここでは現在の石蔭邨に、かつての石蔭邨の写真をモンタージュしたり、facebookに寄せられた石蔭邨へのコメントを映しだしていく。
迷你噪音のBillyは、毎年六四に香港文化中心広場にある「自由の戦士像」前で歌を歌っている。
この「自由の戦士像」は1991年にフランスの彫刻家セザール・バルダッチーニが制作したもので、香港藝術館の開幕展にカルティエファウンデーションから寄贈されたものらしいが、香港政府がこの名称に過剰に反応し名称を変更して「翱翔的法國人」となっているという。


麥海珊は、前作の《唱盤上的單行道》(id:hkcl:20070930#p2)でもそうだったのだが、本のように映画をつくっていく。今回も画面中央に映像が映り、端が黒くなっていて文字が白抜きで入っていたりと書籍の形態にこだわりがあるようだ。そして画面が詩的だったり散文的だったりするのも前回と同じ。あまり情緒的すぎるドキュメンタリーは好きではないので、映画のはじまり部分で水がしつこく映るシーンには拒否反応があるが、本題が始まってからは、かなり面白かった。映画でも話が出るHidden Agendaというライブハウスがあるのは知っていたが、牛頭角あたりにバンド房が多いのは知らなかった。
麥海珊、ご本人も歌を歌い、CDなど出している。
2012.3.26@香港國際電影節(香港科学館)


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